tender dragon Ⅰ

「希龍くんはね、龍泉のトップなんだよ。結衣がいなかったら、今の自分はいないって言ってた。すごいね、結衣は。」

龍泉のトップにそんなこと言わせちゃうんだもん。ほんとにスゴいことだよ。


「芽衣はね、明るくて元気だよ。芽衣と話してると自然とあたしも元気になっちゃうの。ちょっと結衣に似てるかも。」

芽衣と話してるとたまに、結衣を思い出すことがあった。それはきっと、何処と無く似てるから。


「2人とも、いい人だね。」

出会えてよかったと、心の底から思う。

「結衣が会わせてくれたんだよね?」

あたしがいつまでも泣いてるから。

もう泣くな、って。

「もう泣かないよ。」

大丈夫。前よりもっと、強くなった。

「また来るからね。」

立ち上がって空を見上げると、フワッと優しい風があたしの体を包み込んだ。


「あたしね、結衣のこと大好きだよ。」

これからもずっとね―…

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