tender dragon Ⅰ
――――――
―――――――…
「もういいの?」
「うん。ちゃんと伝えたから」
下で待っててくれた希龍くんが、あたしの顔を見て嬉しそうに笑う。
「そっか。よかった」
そしてポケットを探ると
「誕生日おめでとう」
そう言って長細い箱をあたしに渡した。
「遅くなったけどね。」
希龍くんが家まで助けに来てくれたあの日は、結衣の命日でもあり、あたしの誕生日でもあった。
日記を読んだあの日、あたしは結衣からの誕生日プレゼントを貰った。
「これ、あたしに?」
「うん、美波に」
「うそ…、ありがとっ」
「どういたしまして」と優しく笑って、あたしにヘルメットを被せた。
こっそり中身を見ると、シンプルなネックレスが入っていて、顔がにやけてしまった。