tender dragon Ⅰ
繰り返される悲劇

それは突然の出来事だった。

希龍くんとちゃんと話も出来て、結衣のお墓参りにも行けた。葉太とも普通に話せるし、春斗は毎日迎えに来てくれる。

いつもと変わらない日常。

ただ、1つだけ違った。


「おはよう。」


朝学校について感じた違和感。

教室に入って言った「おはよう」という言葉に、返事が帰ってくることはなかった。

その代わりに返ってきたのは、あたしに向けられた加奈たちの冷たい視線。


一瞬で察した。

あぁ、またか、と。


感じたことのある冷たい空気が教室内には漂っていた。

あたしから目を逸らすクラスメート。

あたしを睨み付ける加奈たち。


あたしの居場所は、ここにはない。


「嘘つき女。」

加奈の口から、あたしに向けられたその言葉ですべてを察した。

龍泉…、いや、希龍くんや葉太と関わっていることがバレたんだ、と。

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