tender dragon Ⅰ
だから、朝からジロジロ見られてたんだ。
もう、この学校に知らない子はいないんだね。
「あんたなんでしょ?龍泉と関わってるうちの学校の女って。」
やっぱり。
不思議と、怖くはなかった。
だけど、頷けなかった。
「何か言えよ!」
この人たちは一番敵に回しちゃいけない人たちだったのになぁ。
また繰り返すんだね、あたしは。
「あんたみたいな女が龍泉と関わっていいと思ってんの?」
関わっちゃダメだって、気づいてる。
そんなこと、あたしが一番よく分かってるよ。
「黙ってんじゃねーよ!!」
顔をイラつかせた加奈が近づいてきてあたしをドンッと押す。
よろけてしまったあたしは、そのまま勢いよく床に倒れてしまった。助けてくれる人はいない。
そりゃあ、そうだ。
みんなの憧れの龍泉と関わってる上に、2年になってからは加奈たちとしか話してなかったんだから。
助けてくれるほど仲がいい人なんて、このクラスにはいない。