tender dragon Ⅰ
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何が気に入らなかったのかなんて、ハッキリしてる。龍泉と関わっていることが、それがあたし1人だけなのが気に入らないんだ。
だからこうして、また痛い思いをする。
強くなっただなんて、そんなのあたしの勝手な思い込みで、ただの錯覚。
「痛いっ!」
だから涙だって出そうになるし。
心だって痛い。
「ねぇ、いい加減紹介してくれる気になった?」
加菜の歪んだ笑顔が目に焼き付く。あたしの髪を引っ張る手は、氷のように冷たかった。
「紹介は出来ない…!」
今まで笑い合っていた友達なのに。必要とされてないことは分かってた。いてもいなくても変わらない存在だって。
だけど、こうも変わるもの?
確か中学のときもそうだった。些細なことがきっかけで今まで仲が良かったはずの友達が豹変した。
やっぱり、きっかけなんてどうでもいいんだ。
ただ、みんな、自分は上の立場にいるんだと思いたいだけ。