tender dragon Ⅰ
そっと、触れてみる。
こんなに明るい色に染めてるのに、痛んでいないような髪質に驚く。
男の人の髪の毛とは思えないような、綺麗な髪だった。
「あ、美波、そいつ女遊び激しいからダメだぞ」
「え?」
葉太の言葉に耳を疑った。
「葉太、余計なこと言うなよ」
希龍くんはそんなことを言いながらも笑ってる。まぁ、そうだったとしても変じゃないもんね。
龍泉の総長はカッコいいって有名だし、女の子がほっとくわけない。
この顔立ちで遊んでないなんて、逆に驚くよ。
「そうなんだ」
「うん、だから…俺はダメだよ」
自らこんなふうに言ってしまうんだから、きっと本当なんだ。
あたしから目を離して、希龍くんは急に立ち上がって、カーテンの閉まっている窓に近づく。
「こんなに遅くまでよくやるよ」
カーテンを開けると、座っているあたしからでも外の景色が見えた。