tender dragon Ⅰ

「分かんない?あんたみたいなブスが龍泉と関わってることは、間違いなの。」

「そのくらい自分で気づきなさいよ。」


自分で気づいてるつもりだったけど、こうもハッキリ言われるとグサリと胸に突き刺さる。

あたしが希龍くんを好きになったことは間違いだって言うの?

やっぱり好きになっちゃいけない存在だった?


「聞いてんの?」


不適に笑う加菜の表情が、中学のときにあたしをいじめていたあの子と重なった。

笑いながらあたしをいじめていたあの子と。

いつでも思い出せる。机に書かれた落書きも、ゴミ箱に捨ててあった上履きも。


「ねぇ、携帯貸してよ。」

ねぇ結衣?

結衣ならこんなときどうした?


「…何で?」

「神岡くんと佐々木くんの連絡先ぐらい知ってんでしょ?教えてよ。」

どうしたら分かってもらえるかな?

< 280 / 428 >

この作品をシェア

pagetop