tender dragon Ⅰ
「分かんない?あんたみたいなブスが龍泉と関わってることは、間違いなの。」
「そのくらい自分で気づきなさいよ。」
自分で気づいてるつもりだったけど、こうもハッキリ言われるとグサリと胸に突き刺さる。
あたしが希龍くんを好きになったことは間違いだって言うの?
やっぱり好きになっちゃいけない存在だった?
「聞いてんの?」
不適に笑う加菜の表情が、中学のときにあたしをいじめていたあの子と重なった。
笑いながらあたしをいじめていたあの子と。
いつでも思い出せる。机に書かれた落書きも、ゴミ箱に捨ててあった上履きも。
「ねぇ、携帯貸してよ。」
ねぇ結衣?
結衣ならこんなときどうした?
「…何で?」
「神岡くんと佐々木くんの連絡先ぐらい知ってんでしょ?教えてよ。」
どうしたら分かってもらえるかな?