tender dragon Ⅰ
でもどうしてだろう。
自分でも何でか分かんないけど、加奈たちのことを憎んでも憎みきれないんだよ。
「ねぇ芽衣…」
『何?』
「どうしても、あたしの力だけじゃ分かってもらえないかな…?」
『……今のあの子たちじゃ無理だよ…』
「そっか…、あたし1人じゃダメなんだね…」
ただ、こんなくだらないことをしても無駄なだけだと、分かってほしかったのに。
そんなことすら、できない。
結局、守られてばかり。
『美波、1人じゃなくたっていいじゃない。』
「え…?」
『分かってもらいたいんでしょ?だったら、美波1人で頑張らなくても、他に方法はあるはずだよ。』
「他に、方法…」
『希龍たちの手を借りるのも、1つの方法だよ。あの子たちが気づかないまま大人になるより、今気づかせた方がいいと思わない?』
その言葉に反応できないあたしに、芽衣は優しく「大丈夫だよ」と言って。
『きっと分かってくれるから。』
「…うんっ」