tender dragon Ⅰ
壊れた恋心
自分で話すのは嫌だった。
自分で言わなくちゃならないことだってことは分かってるけど、どうしても言えなかった。
そんなあたしを見かねてか、芽衣は「あたしが言ってもいい?」と優しく聞いてくれて。
それに頷くしかなかった。
それでもやっぱり芽衣も迷ってるみたいで、希龍くんがあたしに事情を聞くことも、葉太が学校に怒鳴り込んでくることもないってことは、多分まだ言ってないんだと思う。
それに少しだけ、安心していた。
「っ!」
気づけばもう、加奈たちにバレて2週間も経ってしまっていた。加奈はまだ狂羅にあたしのことを言ってないみたい。
「いつになったら教えてくれんの?」
それはきっと、バラしたらヤバイことになるってことを、加奈も分かっているから。
「だから…っ、教えられない…」
「バラされたいの?」
特に今日は加奈の機嫌が悪い。
イライラしてるのがあたしから見てもすぐに分かって、取り巻きの二人もその様子に戸惑っているみたいだった。
叩かれた頬が、ジンジンと痛む。