tender dragon Ⅰ
ビルの明かりやお店の明かりに混じって、遠くの方で無数の光が動いている。
「あれってもしかして…」
「狂羅だ」
葉太が遠くの光を睨み付けながら言う。
その瞳には、闘争心がメラメラと燃えている。
気が強い上に熱い男なの?
「こんなに夜遅くまで…全然知らなかった」
「暴走が始まったのは2、3年前から。裏で人集めて準備してたらしいんだ。気づいたときにはもう遅かった」
一度潰した暴走族が、復活することなんてあるんだ。何も知らなかったなぁ。
「大方、元狂羅のやつらの子供が集まってんだろ。そう考えれば時間的にも話が合う。ちょうど俺らと変わらねぇぐらいの子供がいるはずだし」
葉太の説明を、希龍くんは窓にもたれ掛かって黙って聞いていた。真剣な表情で。
「気を付けろよ、美波。最近は悪い噂しか聞かねぇから。」
「気をつけろって…あたしどうすればいいの?」
狂羅なんていう聞いたこともない暴走族に気をつけろなんて言われても、どの人が狂羅でどの人が龍泉かなんて見分けられないもん。