tender dragon Ⅰ
葉太とはやっぱり気まずくて、喋らないわけじゃないけど、どこかぎこちない関係が続いていた。
希龍くんは……言い訳をするわけでもなく、いつもと変わらない希龍くんのままだった。
だけどあたしが今まで通りに接することが出来なくて、やっぱりどこかぎこちないまま。
「これだけ一緒にいればそのくらい気づきますって。」
「それでも、感謝してるよ。あたし春斗がいなかったら今ごろ1人で泣いてるとこだよ」
「俺の存在大きいっすね(笑)」
「そういうことは自分で言っちゃダメだよ」
まぁ、当たってるけど。
あたしきっと、春斗がいなかったら今こうして笑えてないと思うんだよね。
春斗が一緒にいてくれるから、あたしは1人じゃないんだと思える。
「ねぇ春斗?」
「何すか?」
前を歩いていた春斗は、ニコッと笑って振り返ると、あたしの方に向き直った。
「…春斗も、見たことあるんでしょ?」
春斗の笑顔が失われた。
それは肯定を示すには十分で。