tender dragon Ⅰ
間違えて動く心臓
どうしてこう、上手く出来ないんだろう。
あたしはあれだ。告白されちゃったら、そのあと気まずくて目も合わせられなくなっちゃうような人間だ。
その辺、上手く立ち回れる人が羨ましい。
どうしてあたしには出来ないんだろう。
……もう、かれこれ1週間も葉太と気まずいままの関係が続いている。
葉太は気を遣ってか、今まで通りに話しかけてくれるんだけど、あたしが全くダメで。
どうにもならないくらい挙動不審。
それを見て、どうやら春斗は察したらしい。
「あの、美波さん……もしかして、葉太さんに告られました?」
「………え?」
何の前触れもなく、そう聞いてきた。
……一度春斗の頭の中を覗いてみたい。きっと、この人はあたしの心が読めるはず。
「図星ですね。」
「や……いやいや…」
「葉太さん、すっげぇ落ち込んでますもん。もう、ドヨーン、って感じっすよ」
「うそっ、そんなに?」
あぁ、やっぱり傷つけてるんだ。