tender dragon Ⅰ
2人きりになるのは、告白された日以来だった。いつも春斗がいたから。
その春斗は今日はいない。
安田さんがいないのはいつものことだけど、最近は希龍くんもこの時間帯にいない。
女の子と会ってるのかもしれないけど…そんなこと、もうあたしには関係ないことだから。
勇気を振り絞って葉太がいるところまで行くと、葉太は意味もなくチャンネルを変えていて。
やっぱり無理して平気なフリしてるんだ。
「あの…、座っていい?」
「おー…、いいよ」
あたしから話しかけたことに、少し驚いてるみたいだった。そりゃあそうだ。ずっとあたしから話しかけてなかったし。
いつ切り出そうか。
カチカチ切り替わるテレビを見ながら必死に考えるけど、全然思い付かない。
どのタイミングで…
何て言えばいいんだろう。
いつもは春斗がいたからこの気まずい空気も何とかやってこれた。
2人だとどうも……
いや、でもいつまでもウジウジしてたって、この状況はどうにもならない。
言うなら今日。
せっかく春斗に勇気貰ったんだし!