tender dragon Ⅰ
「美波ちゃん、こんな遅い時間まで大丈夫?両親怒るんじゃない?」
部屋から外に出た途端、安田さんが申し訳なさそうに笑ってそう聞いてきた。
そう思うのが当然だろう。
だってもう、0時前だもん。
高校生が外にいていいような時間帯じゃない。
気を遣わせちゃったかな…
「大丈夫です。うち共働きなんで、多分2人共まだ帰ってきてませんから」
「そうなんだ。でも、共働きだからって夜遊びだけはすんなよ?最近はほんとに危ないらしいから」
それはもう、痛いほどに分かりました。
あんなにしつこくナンパしてくる人は初めてだったし、ああいうのは何を言っても聞いてくれないっていうのも、よく分かった。
「もうしませんよ。さすがに素人のあたしでも分かります。今日だって、希龍くんが来てくれなきゃどうなってたか分からないし…」
ほんとに、怖かった。