tender dragon Ⅰ


「俺のお陰っすね。」

「そうだけど、自分で言わないでよー。」

あの日春斗が背中を押してくれたおかげで葉太とは元通り、仲のいい友達に戻れた。


「葉太さん、いつも通りに戻りましたし」

春斗はニッと笑うと、あたしの頬をプニプニと指でつつく。


「美波さんもちゃんと笑えてますし」

「あたし?」

「はい」と笑って、今度はあたしの頬を摘まんで引っ張る。あたしで遊んでる?

朝から2人でじゃれてる場合じゃないのに。


「いひゃいー!」

「あははっ、すげぇ顔!」

しばらくすると春斗は満足したようにあたしの頬を離してバイクに跨がった。


「じゃあ、放課後迎えに来ますね!」

「うん」

「行ってらっしゃい!」

「行ってきます」

笑顔で手を振る春斗。

無邪気で、子供みたいで。

思わず顔が綻んでしまう。

そしてふと、思い出した。

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