tender dragon Ⅰ
狙われたのは彼
「美波!」
病院につくと、中には大勢の人がいた。
芽衣はあたしに駆け寄ってくる。
「ねぇ、何があったの…?」
声が震える。
手も、足も、力が入らない。
希龍くんも葉太もそこにいて、タケくんもいる。龍泉の人だって、たくさん。
みんなみんな、怪我してた。
中には包帯を巻いてる人だっている。
「…狂羅だよ」
小さな希龍くんの声は今にも消えてしまいそうだった。
「狂羅…?」
「西高まで乗り込んできやがった。」
葉太はイラついたように言う。
希龍くんと葉太に、怪我はない。
それが2人の強さを物語っていた。
そして辺りを見渡す。
「…ねぇ、春斗は…?」
見渡しても、見つからない。
たくさんいる龍泉の人たちの中に、春斗の姿はない。
あたしが春斗の名前を出した瞬間、みんなの顔が強ばった気がした。