tender dragon Ⅰ

――――――
―――――――…

―コンコン…

ノックをして真っ白なドアを開けると、ここ数日間変わらない景色が目に入る。

「おはよう、春斗…」


春斗が病院に運ばれて4日。

ICUから一般病室に移されて、お見舞いにも来れるようになった。

でも、春斗の意識は戻らないまま。

あれから毎日ここに来てるけど、春斗は一度も目を覚まさない。


「今日もいい天気だよ」


一般病室になって、近づけるようになって気づいた。遠くからじゃ分からなかった痛々しい傷が、たくさんある。

少しも動かない春斗は、あたしの知ってる春斗には見えなかった。


―ガラッ…


「美波ちゃん…」

「あっ、こんにちは…」

入ってきたのは春斗のお母さんの、実瑠さんで。会ったのは今日が初めてじゃなかった。

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