tender dragon Ⅰ
「美波ちゃんのせいじゃないわ」
「あたしのせいなんです…!」
「希龍から話は聞いてるの。」
希龍くんから…?
どんな話をしたんだろう。
「この子が自分で判断したことなんだから。それでこうなったんだから。美波ちゃんに責任はないの」
「でも…っ」
「恋汰ね、昔は春斗と同じように暴走族してたの。喧嘩ばっかで生キズが絶えなくてね、それであたし一度言ったことがあるの。」
愛しそうに春斗を見つめる。
それは息子を見つめる母親の優しい目。
「無茶しないで、って。」
実瑠さんは昔のことを思い出すように、一つ一つ語っていく。
「そしたら恋汰、"俺は大切なものを守るために戦ってんだ"って言って笑ったの。」
大切なものを、守るために…
「きっと春斗も、大切なものを守るために戦ってるのよ。」