tender dragon Ⅰ
「…早く起きて、春斗…」
あたしの声が、静かな病室内に響く。
そんなことを言っても目を覚まさないと分かってるのに。口に出さずにはいられなかった。
"大切なものを守るため"
あたしのことを大切だと思ってくれてるの?
守ってくれようとしたの?
聞きたいことはたくさんある。話したいことだって。くだらないことを話したり、春斗にしかできない相談だって。
あたしだって、春斗が大切だよって。
無邪気な笑顔が早く見たい。
春斗が起きるまで、毎日ここに来るから。
毎日話しかけるから。
だから、早く起きて?
いつもみたいに優しく笑ってください。