tender dragon Ⅰ
嫌い、大嫌い
「ほんとに毎日来てんだな」
「うん、そうだよ」
「何かわりぃな。俺、毎日は来れねぇし…」
「葉太はあたしと違って忙しいんだから、仕方ないよ。それに、ここにはあたしが来たくて来てるの」
いつも通り春斗のところに来たとき、ちょうど病院の入り口で葉太にあった。
最近忙しいみたいで、安田さんの家にも帰ってこないことがある。
「そっか。」
あたしも久しぶりに会ったくらいだもん。
学校帰り、毎日ここに寄ることがあたしの日課になっていた。
変わったのは、送ってくれるのが蒼空くんになったということだけ。
見慣れた病院の前。
いつもと同じように、ノックをしてドアを開けた。いつもと違う景色。
逆行でよく見えない。
それでも、心臓は高鳴った。
「おー、希龍。来てたんだな。」
「うん、時間空いたから」
笑顔でそう言った。