tender dragon Ⅰ
「あー、もう帰らなきゃ。」
気がつくと、芽衣が来てもう何十分もたっていた。外で待ってる遼太くんにとっては長い。
「そっか……じゃあね、芽衣」
「…うん、バイバイ!」
心配そうにあたしを見つめるから、大丈夫だと、笑顔を見せた。
芽衣が出ていったのと同時。
希龍くんが携帯を持って立ち上がる。
…電話?
「…もしもしユカ?…あー、ごめんね。」
電話しながら、病室を出ていった。
"ユカ"
ハッキリそう言った。
希龍くんが名前を呼ぶ女の子。
じわじわと現実味を帯びてくる。
"ユカ"って誰?
あたしの知らない女の子。
「ユカって誰だよ?」
葉太も知らないみたいだった。
「…知らない…」
きっと、希龍くんが最近会ってる女の子の中の1人なんだろう。
「ふーん…、そっか」