tender dragon Ⅰ
「嫌いじゃねぇくせに。」
嫌いになんて、なれるわけない。
だからこうやって、涙が溢れる。
「…バカだな、お前」
「……っ…」
あたしの頭をポンッと撫でる葉太の手が暖かくて、余計に涙が出る。
「…帰るぞ」
希龍くんを傷つけてしまった。
自分が傷つきたくないから。
嫌いだなんて、思ったことないよ。
あたし、あなたに出逢ってからずっと、あなたに恋をしていたんだから。
…でも、もう終わりにするね。