tender dragon Ⅰ
変化する日常
あの日から、変わった。
希龍くんはほんとに安田さんの家に帰ってこなくなって、姿すら見かけなくなった。
それはきっと、あたしだけ。
…避けられてるんだと気づくのに、時間はかからなかった。
当然のことだから。
避けられて、当然。
「今日は俺も行く。」
あたしの送り迎えをしてくれてる蒼空くんが、珍しく一緒に春斗の病室に来ると言う。
そういえば、あの日から葉太にも会ってない。
だけど、たまに連絡をくれる。
【元気か?】
【無理すんなよー】
何度も励まされた。
あの日だって葉太がいなきゃ、きっとあの場所から動けないままだった。
「…学校、あと何日?」
「あと3日だけど…、何で?」
あと3日学校に行けば、春休みになる。
春休みが来ることが少しだけ嬉しかった。