tender dragon Ⅰ
「希龍と葉太は知ってると思うけど。」
「…最近会ってないから…」
会ってたとしても、もう助けてなんかくれないよね。酷いことを言ったんだもん。
自業自得。
希龍くんが助けてくれるわけない。
「…そ。まぁいいけど。一応見た目だけでも変えとく?カモフラージュに。」
「今さら…?」
「残念だけど、あと3日もチャリで逃げられるほどの脚力はないから。」
「バイクなら別だけど」なんて言って笑ってるけど、蒼空くん一応中学生だからね。
「…どうすればいい?」
見た目を変える。
変えれば、何日かは持つのかもしれない。でも、顔がバレてるなら何の意味もない。
「髪、染めてみれば?」
生まれて一度も染めたことのない、真っ黒な髪。蒼空くんが毛先を持ってジッと見つめる。