tender dragon Ⅰ

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―――――――…

「やっぱり美波そっちの方が可愛いよ。」

「そんなことないよ。」

「あ、照れてる!」

「…もう!」


終業式を終えて、ホームルームも終えた頃には、もうお昼なんてとっくに過ぎていた。

隣には芽衣がいる。

春斗のところに一緒に行きたいから、遼太くんを呼ぶらしい。


「あの…っ、神岡さん!」

「はい?」

「ちょっと、話があって…」

帰ろうとしてきたとき、芽衣が男の人に呼び止められて。きっとそれは告白。

申し訳なさそうな顔であたしを見る芽衣。


「あたし教室で待ってるから、行ってきなよ」

「ごめんねっ、すぐ戻るから!」


モテる女は辛いねー…

遼太くんが心配するのも、何だか分かる気がする。男の人が放っておくわけないもんね。

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