tender dragon Ⅰ
「あ……」
ドアを開けて入ってきたのは、いつも加奈と一緒にいる取り巻きの2人。
思わず体が固まった。
何もしてこないことは分かってるけど、どうしても体が反射的に反応してしまう。
「っ…ねぇ!」
ここにいるのは気まずいから、場所を変えようと歩き出したときだった。
切羽詰まったように大きな声を出す。
「何…?」
あんなことがあったから、加奈がいなくても警戒してしまう。
……あれ、今日加奈休みだったかな?
「加奈…っ、知らないっ?」
「え…?」
何を言い出すのかと思えば、あたしが今考えていた加奈のこと。思わず聞き返してしまった。
「何で…?」
「昨日から連絡とれなくて…っ、最近彼氏がイライラしてて大変なんだって言ってたし……ねぇ、美波何か知らない!?」
話さないから気がつかなかった。
加奈は今日、来てない。