tender dragon Ⅰ
「今も連絡とれないの?」
2人は頷いた。
2人がこんなに焦ってるのは、きっと加奈の彼氏が普通の人じゃないから。
"狂羅"の人間だから。
「ごめん…、あたしも知らないの…」
加奈のことなんて、知らなかった。
今こんなに危ないことになってるってことも。
「どうすればいいかな…っ」
2人とも泣きそうな顔であたしにすがる。
あたしを苛めていた張本人が危ない目に遭ってる。それでも無視できないのは、きっと本気で嫌いになるのは無理だから。
一度は友達になったから。
だから放っておけない。
―バンッ!!
教室内に響く大きな音。
驚いたのはあたしだけじゃなくて、あたしの目の前にいた2人も同じだった。
音がした方を見る。
そこには…
「加奈っ!!」
傷だらけの加奈。
取り巻きの2人は立ち尽くしていて、動けそうもなかった。