tender dragon Ⅰ
「何があったの!?」
急いで駆け寄ると、あたしの腕を強く掴む。
あんなに強かった加奈の面影はない。顔も体も傷だらけの加奈が、そこにいた。
「………っ」
痛そうに顔を歪める加奈が、口を開いた。
「ごめん…っ」
「何が…?」
目に涙を溜めて。
どうしてこんなに傷ついてるんだろう。
「狂羅に…っ、美波のこと、バレちゃった…っ」
「え…?」
"狂羅に美波のこと、バレちゃった"
途切れ途切れだったけど、ハッキリ聞こえた。
「ごめんなさいっ…言うつもりなんて、なかったの…!」
苦しそうな加奈が、涙をこぼしながら何度も何度もあたしに謝る。
やっぱり、あのときだって、言うつもりはなかったんだよね?
「…それで、こんなに傷ついてるの…?」
「……っ、ごめんね…」
謝る加奈を、ギュッと抱き締めた。