tender dragon Ⅰ

もう、謝らなくていいんだよ。

謝るのはあたしの方。

あたしのせいで、ごめんね…


「加奈、保健室行くよ」

「ダメ…っ、早く帰って…!」

立ち上がらせようと思って加奈の手を掴むと、振り払われた。


「何で…」

「狂羅が…あんたのこと、探してる…お願いだから、早く帰って…!」

「でも…っ」

「いいから…早く…!」


加奈は自分の力で立ち上がって、あたしの背中を押す。力は弱かったけれど、強く、強く。

そんな体でここまで来たんだよね?

あたしに伝えるために、わざわざ。きっと痛かったはずなのに…


「美波…?」

教室に向かってくる芽衣。

「美波…っ、早く…!」

「ごめん…っ、ありがと!」

不思議そうな顔であたしと加奈を見つめる芽衣の手を掴んで走り出した。


外を見ると、うっすら雲がかかってて暗い。

明るかった空はもう、隠れていた。

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