tender dragon Ⅰ
「美波っ、どうしたの!?」
訳が分からない芽衣は、そう聞きながらもちゃんとついてきてくれる。
「狂羅にあたしのことがバレたの!加奈が教えてくれた、今探してるって!早く帰れって!」
そう言うと芽衣の顔は一気に強ばる。
慌ててどこかに電話をし始めた。
「遼太!?今どこ!?」
切羽詰った芽衣の声が、事の大きさを物語っているようだった。
「今すぐ迎えに来て!蒼空も一緒に!!」
蒼空くんも一緒にいるみたいで、どうやらここの近くにいるらしい。
来るのに10分もかからない。
「何でこんなに急に…っ」
「……加奈が、言ったみたい」
そう言うと芽衣は怒ったようにあたしを見る。
「違うの!加奈は悪くないの…!」
むしろ、あたしを守ってくれようとしたんだよ。傷だらけになりながら。
芽衣は訳が分からない、と言うような顔てあたしを見つめる。
「…狂羅にリンチされて、無理矢理言わされたの…っ…だから、加奈は悪くない」
傷だらけだった加奈の姿と、今の話で全部察したらしい。芽衣はそれ以上、何も言わなかった。