tender dragon Ⅰ
無邪気な笑顔。
眠そうな顔。
不機嫌な子供っぽい顔。
急に男らしくなる顔。
会わなくたって、いつでも、何度でも思い出せるんだから…
蒼空くんにギュッとくっつく。
染めた髪、無駄だったんだなぁ…
蒼空くんも一緒に染めてくれたのに。
もしかしたら、このまま楽しい春休みを迎えられるんじゃないかって思ってたの。
そんなわけないのに。
「ここまで来てんのかよ…っ」
学校から少し離れると、見慣れない無数のバイクがそこにあった。
あぁ、やっぱり…逃げられない。
「美波…、走れるか?」
「え…?」
「逃げんのは無理だ。隠れるぞ。」