tender dragon Ⅰ

案の定、あたしたちに気づく。

もう、顔だってバレてる。

きっと蒼空くんが希龍くんの弟だってことも。

無数のバイクが一気に向かってきた。


「降りるぞ美波!!」


その声と共に体は宙に浮き、自転車はものすごい音を立てて道路に飛び出す。

クラクションの音が鳴り響いた。


転けたと思っていたあたしの体は、蒼空くんに抱き抱えられていて。どこも痛くない。

クラクションに混じって、男の人の怒号も聞こえてきた。バイクに乗った人たちの。


「美波!」

手を強く引かれる。

蒼空くんに引っ張られるままに、走り出した。

< 375 / 428 >

この作品をシェア

pagetop