tender dragon Ⅰ
案の定、あたしたちに気づく。
もう、顔だってバレてる。
きっと蒼空くんが希龍くんの弟だってことも。
無数のバイクが一気に向かってきた。
「降りるぞ美波!!」
その声と共に体は宙に浮き、自転車はものすごい音を立てて道路に飛び出す。
クラクションの音が鳴り響いた。
転けたと思っていたあたしの体は、蒼空くんに抱き抱えられていて。どこも痛くない。
クラクションに混じって、男の人の怒号も聞こえてきた。バイクに乗った人たちの。
「美波!」
手を強く引かれる。
蒼空くんに引っ張られるままに、走り出した。