tender dragon Ⅰ
「俺は、美波を傷つけたくなかったんだよ。」
頬を撫でる希龍くんの手を、ギュッと握った。
起き上がって向かい合うと、額同士がコツンとぶつかった。
「…全員に謝って、納得してもらえたら…」
あのとき……あのカフェに女の子と一緒にいたのは、きっと謝ってたんだよね?
だから、何度も何度もみんなが見たって言ってたんだよね?
「俺、美波に言いたいことがあるんだけど…」
不安そうな希龍くん。
あたしを見つめて、微笑んだ。
「聞いてくれる?」
「…うん、もちろん」
いつになったって構わないよ。
ずっと待ってるから。
だから、期待しててもいいよね?
希龍くんの大切な人はあたしなんだって、思ってもいいんだよね?
「あたし、待ってるから」