tender dragon Ⅰ

「俺は、美波を傷つけたくなかったんだよ。」

頬を撫でる希龍くんの手を、ギュッと握った。

起き上がって向かい合うと、額同士がコツンとぶつかった。


「…全員に謝って、納得してもらえたら…」

あのとき……あのカフェに女の子と一緒にいたのは、きっと謝ってたんだよね?

だから、何度も何度もみんなが見たって言ってたんだよね?


「俺、美波に言いたいことがあるんだけど…」

不安そうな希龍くん。

あたしを見つめて、微笑んだ。


「聞いてくれる?」

「…うん、もちろん」


いつになったって構わないよ。

ずっと待ってるから。

だから、期待しててもいいよね?

希龍くんの大切な人はあたしなんだって、思ってもいいんだよね?


「あたし、待ってるから」

< 410 / 428 >

この作品をシェア

pagetop