tender dragon Ⅰ
「っは……」
慣れてないあたしは当然息が切れて、力も入らなくなって。希龍くんにもたれかかってしまった。
「ごめん、苦しかった?」
「ん、ちょっとだけ…」
希龍くんは泣き止んだあたしを見て、満足そうな笑顔でベッドに寝転んだ。
あたしも同じように寝転ぶ。
……けど、隣の部屋から聞こえてくる声に驚いて飛び起きた。
「え?」
聞こえてくるのは、あたしが聞いたこともないような甘ったるい女の子の声で。
それは隣の部屋から聞こえてくる。
「隣って…」
そうあたしが呟くと、希龍くんも起き上がって欠伸をしながらため息をついた。
「芽衣と遼太。」
「え、何で……」
「あはは、美波真っ赤だよ。」
「だって…!」
「ここ壁薄いのにヤらないでほしいよねー」
なんて言って、またベッドに寝転んだ。
ヤるとか、そんな簡単に!
まぁ隣はカップルだから仕方ないことなんだろうけど、もう少し狼狽えるもんでしょ!
「聞きたくないから、早く寝よ」
「…うん」
素直に頷いて、眠りについた。