tender dragon Ⅰ

重症で、ICUにまで入ってたのに、それを感じさせないくらい明るい笑顔。

「もう大丈夫なの?」

芽衣がそう聞くと、春斗は腕を振って「この通り」なんて言って笑う。


「心配かけてすいませんでした」

あたしたちの方を向いて、頭を下げて謝った。


痛々しい頬の傷。

手足に巻かれたギプス。

ベッドから起き上がるのがやっとなはずのに、頭を下げる。

春斗は、悪くない。


「俺の不注意でした。」

誰も、春斗の不注意でこうなっただなんて思ってないよ。

責任を感じる必要なんてないんだよ。


「バカだなぁ、春斗は。」

そんな春斗に、希龍くんは笑って。

「誰も春斗のせいだなんて思ってねぇよ。お前は美波を守りたかったんだろ?」

葉太が春斗の頭を乱暴に撫でながら言った。

< 415 / 428 >

この作品をシェア

pagetop