tender dragon Ⅰ
重症で、ICUにまで入ってたのに、それを感じさせないくらい明るい笑顔。
「もう大丈夫なの?」
芽衣がそう聞くと、春斗は腕を振って「この通り」なんて言って笑う。
「心配かけてすいませんでした」
あたしたちの方を向いて、頭を下げて謝った。
痛々しい頬の傷。
手足に巻かれたギプス。
ベッドから起き上がるのがやっとなはずのに、頭を下げる。
春斗は、悪くない。
「俺の不注意でした。」
誰も、春斗の不注意でこうなっただなんて思ってないよ。
責任を感じる必要なんてないんだよ。
「バカだなぁ、春斗は。」
そんな春斗に、希龍くんは笑って。
「誰も春斗のせいだなんて思ってねぇよ。お前は美波を守りたかったんだろ?」
葉太が春斗の頭を乱暴に撫でながら言った。