tender dragon Ⅰ

「春斗には感謝してるよ。」

希龍くんを見上げる春斗の目には、心なしか涙が溜まっていて。

白い布団をギュッと握りしめていた。

「春斗に美波を任せてよかった。」


ポタッと零れた滴。

春斗は隠すように俯いてしまった。

葉太が春斗の頭を乱暴に撫でて、それを希龍くんが椅子に座って見てる。

その光景はまるで、兄弟がじゃれあっているように見えて微笑ましかった。


「泣いてんじゃねぇよー」

「泣いてませんよ」

そんな風に笑う春斗の目は真っ赤だから説得力なんてないけど、もう泣いてなかった。


よかった、なんて考えてると、隣にいた芽衣がクスッと笑った。

「どうしたの?」

「あははっ、なんか、兄弟みたいだなぁって」

「ふふっ、それあたしも思った」

芽衣も同じことを考えてたんだ。

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