tender dragon Ⅰ
「ほんと久しぶりですね。」
もう1週間以上春斗と話してなくて、目の前にいるのが不思議で仕方ならない。
「久しぶり…」
ベッドの横の椅子に座ると、体を起こした春斗が近くにいて。
あたしが見ていた、目を閉じた春斗はもういないんだと思うと、嬉しくて涙が出た。
「何泣いてんすかー。せっかく俺が目覚ましたんだから、笑ってくださいよ」
こんなに無邪気に笑ってくれるんだ。
あたしのせいで傷ついたのに、今までと変わらない態度で接してくれる。
「痛かったでしょ…っ?」
頬の傷の上に貼られたガーゼ。
触れると春斗は少し顔を歪めた。
「ごめんね、あたしのせいで…」
1人になるべきではなかったのに、あたしを迎えに来るために1人になった。
そのせいで、春斗1人が襲われた。
この傷も、折れた手足の骨も、動く度に苦しそうな春斗の顔も、見る度に苦しくなった。
「バカですか、美波さん」
「え…」
深くため息をついて、あたしを見て呆れたように笑う。あたしよりもずっと大人っぽい。