tender dragon Ⅰ

「俺は美波さんのせいでこうなったとか思ったことないですし。希龍さんたちも、そんなこと思ってないですよ。」

「でもっ…」

あたしが口を開いた途端、春斗はあたしの頬をギュッと摘まんで引っ張った。

片方の頬だけがヒリヒリする。


「でもじゃないです。ほんとに、美波さんのせいじゃないですから。」


ふと、思い出した。

"大切な人を守るために戦ってるの"

実瑠さんの言ってた言葉。

春斗は大切な人を守るために戦ってこうなったんだから、誰のせいでもないんだって。


「分かりましたか?」

「…はい」

素直に頷くと春斗はニッコリ笑って

「俺丈夫だからこのくらい余裕っすよ。」

なんて言った。

< 419 / 428 >

この作品をシェア

pagetop