tender dragon Ⅰ
「丈夫っていっても…」
「大丈夫ですよ。こんなのすぐに治して退院しますから。」
こうやって話すのも久しぶりで、きっと相手が春斗だから、自然と笑みが零れた。
「明日も来るからねっ」
「美波さん毎日来そうですよね」
「当たり前でしょ、毎日来てたよ」
だって春斗はあたしの弟みたいなものだから。
心配するのは当たり前で、そばにいたいと思うのも当たり前。
「毎日?」
「うん。春斗がICUに入ってるときから毎日来てたよ。」
「ICU!?」
「あれ、知らなかった?」
「知りませんよ!」
「そっか、意識なかったもんね…春斗ICUに入ってたんだよ。」
自分がどれだけ危険な状態だったのかを、春斗は知らない。意識がなかったんだから。
「まじっすか…」
自覚がなかったみたい。
「うん。」