tender dragon Ⅰ
「美波ちゃん、こっち!」
遠くで手を降る安田さんが見えて、春斗は呆れたように笑った。
「子供みたいですね。」
「春斗だって子供でしょ?」
「俺は見た目だけですもん。」
そんなことを言ってるけど、春斗は膨れっ面で。そんなところも子供みたい。
実の弟みたいで可愛かった。
「安田さんこんにちは!」
「おー、久しぶり。」
安田さんはあたしが持っていた春斗の鞄をさり気なく持ってくれた。
やっぱり、紳士。
「よし、帰るか。」
春斗のペースに合わせて歩く。
ゆっくりと進む時間が幸せで、ずっとずっとこんな日が続けばいいと思った。