tender dragon Ⅰ
「分かってるって、春斗はもっと大人だもんなー。タケから聞いてるよ」
「タケくんから?」
タケくんの名前が出てきたのは、春斗が病院に運ばれた日以来のことだった。
そういえば、タケくんは春斗と同い年だけど、すごい人だって言ってたもんなぁ。
「お前、タメのやつらから敬語で話されるくらい尊敬されてんだって?」
「いや、それは…」
確かにそうだった。タケくんが春斗のことをはなすときの口調は、友達のことを話す口調じゃなかった。
尊敬する人のことを語るような。
希龍くんや葉太のことを話すときとは少し違った、不思議な感覚。
「照れんなってー」
安田さんはまた春斗の頭をガシガシと撫でて、からかうように笑う。
「照れてませんよ。ただ…、俺尊敬されるような人間じゃないっていうか…」
「バーカ、何言ってんだよ。お前は龍泉の幹部なんだからさ、それくらい当たり前。」
「そっか、春斗幹部だもんね」
「タメのやつが幹部だぜ?そりゃあ敬語も使うって。」
安田さんがそう言うと、今度はほんとに照れたように笑って俯いた。