tender dragon Ⅰ

「はい、出来たよ。」

出来上がった甘口のカレーと辛口のカレーを机の上に並べると、真剣に話をしていた希龍くんと葉太が話を中断してこっちに来た。


「甘口?」

「うん、甘口だよ」


カレーのルーが、甘口、中辛、辛口の3種類すべてが常備してあった。

ってことはきっと、安田さんはいつも鍋を別けてカレーを作ってるんだろう。

大変だなぁ…


「ちょ、葉太さんっ、ニンジンぐらい食べてくださいよ!」

「遠慮すんなって、やるよ」

好き嫌いはないって言ってたのにな。あれ、絶対ニンジン嫌いでしょ。


「俺だってニンジン嫌いなんすよ!」

「バーカ、俺は嫌いじゃねぇし。つーか、だからお前いつまでもチビなんだよ。いいから食えって」

隣に座ってる希龍くんは静かにご飯を食べてるのに、前に座ってる2人はニンジンのことで騒いでる。

一緒にいるのにどうしてこうも性格がバラバラなのか分からない。

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