tender dragon Ⅰ
休日のカフェ
「美波ちゃん何飲む?」
「あ、じゃあミルクティーで」
暴走族の厄介事に巻き込まれてしまったこの状況にだんだん慣れてきたある休日。
あたしは安田さんと小さなカフェにいた。
「最近どう?変わったことあった?」
「変わったこと、ですか…。あ、最近ご飯食べるのが楽しいですね。誰かと一緒に食べるのって、久しぶりだったから」
夕食を1人で食べることがなくなった。安田さんはいない日が多いけど、希龍くんと葉太と春斗はほとんど毎日一緒に食べている。
寂しい、なんて思う暇はない。
希龍くんが意外と大食いだったり、葉太と春斗がニンジン嫌いだったり。
そんな些細なことでも、発見すると凄く嬉しかったりする。
「そっか。まぁみんなで食べた方が美味しいからね。美波ちゃんが楽しいなら、良かったよ」
「まだ1週間しか経ってないけど、そんな風に思えないんです。気を遣うこともないし」