tender dragon Ⅰ

ここ1週間、ほぼ毎日安田さんの家に通ってたからか、家にいる方が落ち着かない。それも変な話だけど。

希龍くんと葉太は忙しいらしくて、今日は一度も姿を見ていない。

今日は両親2人とも仕事だから、安田さんの家に行く予定だったんだけど、今いるのはカフェだ。


朝迎えに来てくれた安田さんは

"俺今日仕事休みだから、お茶しない?"

そう言って、半ば強引にあたしを車に乗せてここまでやってきた。


「巻き込んじゃったから、もっと怒ってるかと思ったんだけどな。」

「巻き込まれた実感がないんですよ。あれから何も起きてないし、ずっと平和だから」


……逆に怖くなるくらい、ほんとに何も起きてない。平和すぎる。


「ここまで何もないと、逆に気持ち悪いよな。美波ちゃんのこと探してたのは確かだし。」

「それ、葉太も言ってました。あれだけ狂ったように暴走してたのに、急に見かけなくなったんですよ」


夜中に響いていたバイクの賑やかな爆音は、最近すっかりなくなった。

それどころか、希龍くんを探していた狂羅ですら姿を見せないらしい。

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