tender dragon Ⅰ
諦めた、なんてことはないだろう。
だってまだ、あれから1週間しか経ってないもん。そんなに簡単に諦めるとは思えない。
「何考えてるんだろうなー」
「あたしには全く分かりませんけどね」
狂羅、なんてもの今まで知らなかった。
龍泉のことだって、ちゃんと知ってるわけじゃないのに。
そういう話に疎いあたしが、暴走族の内部事情なんて知ってるわけない。
「俺も。狂羅は17年も前に潰れたから、俺たちには無関係だと思ってたんだけど、そうでもないみたいだね」
「やっぱり、狂羅のことで忙しいんですかね?」
「あいつら何も言わないけど、最近疲れてるみたいだし…忙しそうだよね」
「大丈夫なんですかね…」
あたしは登下校を春斗と一緒にしてるけど、希龍くんや葉太はたまに1人で出掛けたりする。
1人のときに襲われたりしないのかな?