tender dragon Ⅰ
「まぁ、あの2人は大丈夫だと思うよ」
何を思ってそんなことを言っているのか分からないけど、しっかりとした口調だった。
自信があるみたいに。
「あの2人は、龍泉のツートップだからね。そんなに簡単にやられたりしないよ。」
「でも……何十人も一気に来たら、いくらあの2人でも危ないんじゃないですか?」
あたしがそう言うと、安田さんは「大丈夫」と言って笑った。
「希龍は金龍って言われてるだけあって、喧嘩はすっげぇ強いし、頭もいいんだ。あいつはヤバイと思ったらちゃんと考えて行動できるやつだよ」
なぜか、初めて会ったあの日の希龍くんのカッターシャツに帰り血がついていたのを思い出した。
希龍くんに怪我は1つもなかった。それが、希龍くんの強さを物語っている。
「葉太はー……頭が悪い」
「へ?」
考えてもいなかった安田さんの答えに、思わず変な声が出てしまった。
葉太は頭が悪い、だなんて。
「あいつ、全く勉強出来ないからね。」
「そうなんですか…」