tender dragon Ⅰ

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「うわー、やっぱ重いわ」

「あの、やっぱりあたし手伝いますよ」


急いで買い物を済ませてスーパーを出たとき、あの人が良さそうなおばちゃんに引き留められて、ダンボールいっぱいの野菜を貰った。

自家栽培だから遠慮しないで、と言われて、安田さんはほんとに嬉しそうにそれを受け取っていた。


「そっち持ってくれてるだけで充分だから。」

「ほんとに大丈夫ですか?」

「余裕。こう見えても鍛えてるから」


野菜がたくさん入ったダンボールを抱えている安田さんは、ほんとに主婦みたいで。

似合わないにも程があると思う。


「美波ちゃん、ドア開けてもらっていい?」

「あ、はい」


―ガチャ


鍵は当たり前みたいにかかってなくて、玄関には男物の靴が二足と、少し小さめの靴が一足、置いてあった。

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