tender dragon Ⅰ

「ただいまー」

その声と同時に、安田さんはダンボールをドンッと床に置く。

その音に反応した葉太が、欠伸をしながら出てきた。


「何それ?」

「スーパーのおばちゃんに貰ったんだ。」


くつろぎすぎでしょ。

なんて思ったんだけど、1週間も見ていればやっぱり慣れてくるもの。同棲してるような状況に違和感すら感じなくなった。


「ふーん。つーか、どこ行ってたんだよ?」

「美波ちゃんとカフェでデート。の帰り道にスーパーに寄ってきた」


デートって…

ただ話してただけなんだけどなぁ。


「誰か来てんの?」

希龍くんと葉太の靴の他に、もう一足小さめの靴がある。それを見て安田さんは葉太にそう聞いた。


「蒼空(ソラ)が来てる」

そら?

また新しい子が増えちゃった。

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