tender dragon Ⅰ

「今も、緊張してるの?」

「え?」

なるべく希龍くんを見ないようにした。

だって、緊張するに決まってる。


希龍くんは何も思わずにそうしてるのかもしれないけど、まずあたしは男の子に免疫がないわけだし。

さっき、葉太が頭を撫でたときだって、内心ドキドキしてたけど、それを顔に出さないように必死だった。


「そんなに唇噛んだら、切れるよ」

でも、バレてたんだなぁ…

自分でも気づかないうちに下唇を噛んでいて、指摘されて痛みに気づいた。


「あは、耳も真っ赤」

頬に熱が集まるのが自分でも分かった。

反射的に耳を隠すけど、希龍くんにはその行動も面白く見えたみたいで、また「あはは」と笑ってあたしを見る。


「ここ、座って」

座っているソファーの、隣をポンポンと叩く希龍くんはあたしをからかうように笑ってて、また恥ずかしくなった。

< 98 / 428 >

この作品をシェア

pagetop