tender dragon Ⅰ
「今も、緊張してるの?」
「え?」
なるべく希龍くんを見ないようにした。
だって、緊張するに決まってる。
希龍くんは何も思わずにそうしてるのかもしれないけど、まずあたしは男の子に免疫がないわけだし。
さっき、葉太が頭を撫でたときだって、内心ドキドキしてたけど、それを顔に出さないように必死だった。
「そんなに唇噛んだら、切れるよ」
でも、バレてたんだなぁ…
自分でも気づかないうちに下唇を噛んでいて、指摘されて痛みに気づいた。
「あは、耳も真っ赤」
頬に熱が集まるのが自分でも分かった。
反射的に耳を隠すけど、希龍くんにはその行動も面白く見えたみたいで、また「あはは」と笑ってあたしを見る。
「ここ、座って」
座っているソファーの、隣をポンポンと叩く希龍くんはあたしをからかうように笑ってて、また恥ずかしくなった。