ゆびきり
「愛羅、今何時だと思っているの!りっくん、迎えに来てるのよ!」
 え、私あのまま寝たんだ。どうしよう…気まずい…。
「愛羅、昨日はごめん…。俺は、いきなりあんな事言われるとは、思ってなくて…愛羅を傷つけたのなら、ごめんな?」
 陸斗の優しい声が、聞こえてきた。




「だからさ、一時一緒に行くことやめないか?」





 え?
 陸斗は、そんな事を考えたの?
 陸斗は、悪くないのに…
 陸斗に、気を使わせるつもりは、ないのに…
 
 なんで?
 どうして、こうなるの?
 私は、なんでこんなことを、してしまったんだろう?


 私は、部屋を出ていく陸斗を、止めることができなかった。
 
 そして、私は陸斗と顔を合わせるのも、姿を見るのもいやだったから、高校に入って、初めて学校を休んだ。
 学校を、休んだのに陸斗の言った言葉が、頭の中にずっと残っていた。




 明日になったら、謝ろう。 
 明日から、元の関係に戻れるように…


 こんなことを、私は思っていたけど、こんなに簡単なことじゃなくなっていった。
 
 そう、松尾莉実のせいで…
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